防水工事を依頼するにあたり、具体的な内容について知りたいと考えている方もいるのではないでしょうか。防水工事の必要性は知っていても、実際に依頼を検討する際は工事内容の詳細を把握しておきたいものです。
この記事では、防水工事の内容と目的を解説するとともに、業者選びの際のポイントをご紹介します。
防水工事を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
防水工事の目的と施工内容
防水工事は、建物の屋根や住宅のベランダ、外壁などの建築部分に水が侵入しないようにするための工事です。防水性や撥水性を持つ素材を使用して施工することで、水の浸透を防ぎます。
以下では、防水工事の具体的な目的と施工内容について詳しく解説します。
1.雨漏り防止
防水工事では、水が建材に浸透しないような措置をとることにより、建物内への雨漏りのリスクを軽減できます。水との親和性が低い素材を使用し、防水層を形成するためにコーティングを施したり、古くなったシーリング材の隙間を塞ぎ直したりします。
防水施工は、建物内部の環境悪化を引き起こす雨漏りを防ぐために不可欠です。建物の保護において非常に重要なため、丁寧かつ適切に行う必要があります。
2.建材の耐久性保持
防水工事によって、建物に使用される素材の品質や耐久性を保つことが可能です。たとえば、木造建築では水の浸透により建材が濡れると強度が低下しやすくなり、金属素材を使用している場合、水の侵入は錆の原因となり得ます。
建物の主要な構造部分である柱や壁が劣化すると、耐震性が低下するリスクもあるため注意が必要です。建材の強度を保ち、建物の寿命を延ばすには、防水工事が非常に有効となります。
3.美観と衛生環境の維持
建物の美観と衛生環境を維持するためにも、防水工事が不可欠です。防水工事の主な目的は水の侵入を防ぐことですが、最終的には建物の外観の美しさと衛生状態を保つことにつながります。
防水処理が施されることで水の浸透を防ぎ、壁面のシミや塗装の劣化リスクが減少します。また、湿気によるカビやコケの発生、シロアリ被害の可能性も低減されるでしょう。
主な防水工事5種類を解説
防水工事は基本的に水の侵入を防ぐ目的が共通していますが、施工方法に違いがあります。主に施される防水工事は、以下の5つです。
- 1.アスファルト防水
- 2.ウレタン防水
- 3.ゴムシート防水
- 4.塩化ビニルシート防水
- 5.FRP防水
それぞれの防水工法の内容を説明します。
1.アスファルト防水
アスファルト防水は、主にビルや工場など大規模な建築物において採用される方法です。施工にはアスファルトとプラスチック繊維を混合したシートを用いて、防水層を形成します。耐久性が高く、長期間にわたり防水性能を維持できる点が大きなメリットです。
アスファルト防水は、優れた防水能力と紫外線に対する耐性を兼ね備えており、屋上やベランダなど頻繁に人が行き来する場所に適しています。また、耐久性が求められる駐車場や工場の屋根などにも使用されることが多い施工法です。
2.ウレタン防水
ウレタン防水は、ウレタン樹脂を塗布することにより防水層を形成する手法です。防水工事のなかでも比較的簡単に施工できる工法で、耐用年数は約8年とされています。施工後のメンテナンスも比較的容易で、部分的な修繕が可能なこともメリットです。
ウレタンを液状にしたものを使用するため、外壁や屋根、バルコニーなど多岐にわたる場所に施工できる点が高く評価されています。また、複雑な形状の場所にも対応できる柔軟性があり、広範囲での施工にも適した工法です。
3.ゴムシート防水
ゴムシート防水は、ゴム製のシートを接着剤で固定して防水層をつくる施工法です。シート防水のなかでも施工時間が短いことが特徴で、低コストで行えるメリットがあります。施工が迅速であるため、緊急性が高い場合にも適しています。
ただしゴム素材は紫外線に弱く、劣化が進みやすい点がデメリットです。そのため、定期的なメンテナンスや修繕が必要となります。ゴムシートの特性を理解し、適切な環境で使用することが大切です。
4.塩化ビニルシート防水
塩化ビニルシート防水は、耐熱性や耐紫外線性に優れた塩化ビニル樹脂シートを用いた防水方法です。屋根や屋上での使用に適しており、寿命が長いことが大きなメリットです。塩化ビニルシートは軽量であり、建物に余計な負担をかけずに済む点も評価されています。
また、塩化ビニルはデザイン性が高く、色を選べたりプリントできたりというメリットもあります。一方で、衝撃には弱いため飛来物や鳥害への注意が必要です。デザイン性を活かした装飾的な用途にも適しており、商業施設などでの使用が増えています。
5.FRP防水
FRP防水は、繊維強化プラスチック(FRP)を使用した防水方法です。ガラス繊維でマット加工を施したあと、ポリエステル樹脂でコーティングを行います。耐久性に優れているぶん、比較的コストが高くなる傾向にありますが、長期的な視点では経済的といえるでしょう。
FRP防水は、軽量でありながら強度が高く、さまざまな場所で使用されています。化学薬品に対する耐性も高いため、工場や研究施設など、特殊な環境下でも使用が可能です。
防水工事を依頼する際に確認すべき3つのポイント
防水工事を依頼する前の重要なポイントとして、以下の3つを紹介します。
- 1.施工場所を明確にしてから相談する
- 2.施工の流れを理解しておく
- 3.見積もり内容を詳しく確認する
具体的な工事内容を決め、要点を踏まえたうえで施工業者を選ぶとスムーズです。
1.施工場所を明確にしてから相談する
防水工事を依頼する際は、まず施工する場所を具体的に定めましょう。全面的な施工が必要なのか、ベランダのような部分的なものなのかによって、業者の得意分野も変わることがあります。工事の範囲が明確になれば、業者との打ち合わせもスムーズに進むでしょう。
2.施工の流れを理解しておく
防水工事を依頼する前に、施工プロセスについても理解しておくことが大切です。防水工事には、対象となる部分の洗浄や下地処理といった前準備が必要になります。
工事には通常1週間ほどかかることが多いため、実施可能な日程を検討したうえで業者との相談を進めましょう。
3.見積もり内容を詳しく確認する
防水工事の依頼を検討する際は、業者に提出された見積もりを詳しく確認することが大切です。不明点があれば説明を求め、施工後の保証内容についても具体的に確認しましょう。対応力も、依頼する業者を選ぶ一つの材料となります。
まとめ
防水工事は、建物内への水の侵入を抑えるための重要な対策です。長年にわたり採用されているウレタン防水やアスファルトシート防水の工法のほか、近年ではFRP防水のような新しい方法も人気が高まっています。
防水工事を進める際は、施工する箇所と作業内容を明確にしてから適切な業者に依頼し、納得のいく施工を行いましょう。